懐かしい思い出
先日購入したこちらの本。
世界の香水 神話になった65の名作 (過去記事はこちら☆)
この本を読んでいて、懐かしすぎるフレグランスを見つけた。
今から20年くらい前だろうか。
オシャレに疎い田舎の中学生だった私でも知っていたくらい、流行していたカルバンクラインのシーケーワン。
でもそれがどんな香りなのか、どこで売っているのかも全く知らなかった。
当時、希望する高校に受かるという超目先の目標しかなかった自分には、勉強ばかりの毎日は苦痛以外の何ものでもなかったし、「とにかくそれをやりきれば、自由で開放的な世界へいけるのだろう」くらいにしか考えていなかった。
そんな時、このシーケーワンを意外と身近なところで見かけるのである。
それは、年上で社会人になったばかりの従姉妹の部屋にあった。
従姉妹は社会人になって一気におしゃれになり、人気のブランドの化粧ポーチをもっていたり、ポケベルに友達と撮ったプリクラを貼り、習い事をして、オシャレで、とにかく私の憧れの要素をたくさん持っていた。
よく知らないオシャレそうなアーティストのCDジャケットを飾った部屋に、このフレグランスも一緒に並べられていたのだ。
たぶん、どんな香りか嗅がせてもらったと思う。
全然香りは覚えていないけれど。
ただ、大人になって、自由になって、オシャレになるとこういうものを使うようになるんだ、という印象だけが残った。
それから時は流れ、従姉妹は2児の母ですっかりお母さんになり、相変わらずキレイだけれど、たぶんこのフレグランスは使っていないと思う。
私も高校生になれば自由になれると思っていたけれど、意味もなく入学した進学校にそんなものは存在するはずもなく、ますます「自由になりたい」という思いだけが募っていき、纏っていたのは大好きなブランドだったヴィヴィアンのオーヴがついた香水だった。
今思えば、全く香りに対する知識もないあのシーケーワンは、私にとっていつも先を行っていて、自由でイキイキとしていて、眩しい憧れの存在である従姉妹のイメージであり、自由の象徴だったように思う。
もし従姉妹に「どうしてあのフレグランスを使っていたのか」と聞いたら、たぶんそこに大した理由はなくって、流行っていたからという回答が返ってくる気がする(従姉妹の性格からして)。
でも、そういう流行りの物を迷わず手に入れられて、毎日充実している様子こそが私の憧れで、当時の「早く自由な大人になりたい」という焦りにも似た思いが蘇るのだ。
香りには思い出が宿るけれど、香りではなくボトルデザインそのものに、ティーンエイジャーらしい思い出が、詰まりすぎた1本。
すっかりその存在を忘れていたのに、こんなところでばったりと(?)出くわしてしまい、一気に当時の思い出がよみがえってきたので、つい記事にしてしまったのだった。